エンディングノートを書こう!②〈遺言書とエンディングノートの違い〉
「エンディングノート」と「遺言書」
さて、この違い、分かりますか?
「えっ?同じじゃないの?」と思われている方も多いのですが、
実はこの二つには大きな違いがあるのです。
意外と間違えやすい「遺言書」とエンディングノートの違いについて
今回はお話していきましょう。
①法的な効力は?
テレビドラマなどでは、ズラリと並ぶ親戚の前で遺言書が読み上げられ、
遺産相続問題に発生したりしますね。
そう、遺言書の大きな特徴は「人が亡くなった後、法律上の効力を生じさせることができ、
民法上の意思表示ができる」ことです。
逆にエンディングノートは、財産について細かく記しても、法的な効力はありません。
また遺言書であっても、規定された書き方で書かないと無効になる場合もあるので注意が必要です。
②いつ書くの?
遺言というと、死ぬ直前に言ったり書いたりするものでは…?
と考えている人もいますが、それは大きな誤解。
人はいつ死ぬか分かりませんし、亡くなる寸前できちんと意思表示が出来る人は少ないでしょう。
遺言書は「自分がいつか死んだ時に備えて元気なうちに書く」ものです。
また体は元気であっても判断能力があるうちにしか書くことが出来ませんのでご注意くださいね。
エンディングノートもまた同じで、自分が亡くなった後家族が困らないように、
自分の遺志がきちんと伝えられるように、元気なうちに書くものです。
「暮らしの覚書」という側面あるので、何歳から書いても良いでしょう。
③書く内容
遺言は「財産関係」「身分関係」のみ法的な効力があります。
具体的には「自分の財産を、相続人のうち誰にあげるか(遺贈・寄付)」「相続人以外の誰にあげるか(遺産分割の指定)」「婚姻以外の子どもの認知、残された未成年の子の後見人の指定(祭祀継承人の指名)」などです。
「こんな風な葬儀がしたい」「こんなお墓を建ててほしい」などといった内容については、家族に対するメッセージにはなりますが、法的な効力はありません。
エンディングノートは法的な効力はないため、
逆に、気軽に自分の今の気持ちやメッセージを書くことが出来ます。
また市販されているエンディングノートの多くは
「家族のメッセージ」「大切な人へのメッセージ」など事務的な内容だけでなく、
家族に伝えたい思いなどを書き記す項目があります。
④遺言の種類
ドラマなどでは亡くなる前の最期の一言が「遺言」として扱われることもありますが、
現実はそれでは効力がなく、書面できちんと明記しておくことが必要です。
遺言の種類としては
●自筆証書遺言…遺言書の内容、日付、氏名がすべて自筆で書かれて押印をした遺言。
●公正証書遺言…公証人役場などで、公証人、証人の面前で作成する遺言
があります。
⑤なぜ書くの?
遺言書は残された家族が笑顔を曇らせることなく仲良く暮らしていくためにも
大切なものです。
「自分は財産が少ないから大丈夫」
「家族みんな仲がいいから、遺言書がなくてももめることはないだろう」と考えている方もいますが、
実は遺産分割問題となった案件の75%が実は5000万円以下。
1000万円以下で家庭裁判所に行くまでの紛争となったケースも約32%もあります。
仲の良いご家族の笑顔を曇らせないためにも、遺言書は書いておいた方が良いようです。
エンディングノートは、残された家族のためという側面もありますが、もう少し敷居が低く、
“終活を先導してくれるもの”と捉えていてもいいかもしれません。
価格帯もスケジュール帳ほどで、最近では日々の関心ごとなども書ける
若者向けのエンディングノートも販売されています。
⑥作成の注意点
エンディングノートと違い、遺言書は親族に想いを伝えるだけでなく、
法的な効力を持たせることも大きな目的となります。
しかし自筆証書遺言の場合は、結果的に法的効力がないとみなされて、
家族間の争いのもとになってしまうケースも…。
費用はかかりますが、専門家に相談して書いた方が安心でしょう。
また遺言には「付言事項」という項目があり、
エンディングノートのように家族に対するメッセージを残すこともできます。
法的な拘束力はありませんが、遺族に思いを伝えるための一つのきっかけになるはずです。
遺言書とエンディングノートの違いについて具体的にまとめておきましょう。
■遺言書とエンディングノートの違い