2023/10/14
お墓じまいのあとのご遺骨は散骨できる? 墓じまいの相場と墓じまい後のご供養について解説。
墓じまいの後、散骨を選ぶ人も増えている。
墓じまいと散骨についてお墓ディレクターが説明します。
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1.お墓じまいとは
なぜいま墓じまいが増えているのでしょうか。
テレビ番組などでも「墓じまい」という言葉を耳にすることが増えてきました。
実際に改葬(※墓じまい)の件数は2011年度の調査では76,662件でしたが、10年後の2021年度の調査では年間118,975件と急増しています。
※厚生労働省『衛生行政報告例』より
墓じまいが増えているのは以下のような理由が挙げられるでしょう。
●お墓の管理・供養を引き継ぐ後継者がいない
これまでは先祖代々のお墓を親から子へ、子から孫へと受け継いでいく「家墓」が一般的でした。
しかし少子化・核家族化が進む中で、子どもがいない方や、いても別に所帯を構えて故郷には戻らないというご家庭が増加しています。
また、生活が多様化し、親子それぞれ異なるライフスタイルで過ごすことが増えたことにより、「夫婦だけの永代供養墓にして子供たち世代は自分たちで好きな供養を選んでもらう」というスタイルを選択する人も少なくないようです。
●高齢化が進む中、お墓まいりが難しくなった
以前は故郷のお墓に家族全員でお参りに行く―という光景が当たり前でしたが、今では地元に住んでいる高齢のご家族がお墓掃除を行っているというご家庭も少なくありません。
しかし、「高齢になってお墓掃除が大変」「車の運転ができなくなり、お墓に行くのも難しい」という悩みを抱える人も増え、お墓の管理が負担となってきています。
また、故郷のご両親が亡くなり、遠方に所帯を構えた子供たちがお墓参りに行くことが難しくなり、墓じまいを選択するケースもあるようです。
●お墓に対する考え方が変わってきた。
これまでは「人が亡くなったらお墓に眠る」ことが一般的でした。
しかし、近年供養のスタイルも多様化し、お墓以外にも納骨堂、樹木葬、永代供養墓、散骨、手元供養など様々な選択肢の中から自分に合う供養を選べるようになっています。
そのため、「これまではお墓を守ってきたけれど、子どもたちには負担をかけたくない」「子どもや孫は自由に葬送のスタイルを選んでほしい」と考え、お墓じまいを考える人もいます。
2.お墓じまいの相場
■費用はどれくらい準備しなければいけないの?
墓じまい(お墓の撤去・更地)は1㎡あたり10万円程度が相場と言われています。
そのほか、墓石の大きさや作業しやすさなど周辺の状況によっても変動します。撤去した墓石の処分料もその中に含まれており、一般に30万円~150万円程度ほどが総額となります。
そのほかに必要な費用は下記の通りとなります。
・自治体への申請費用
墓じまいだけをする場合は、墓地管理者への申請は必要ですが、自治体への申請は必要ありません。
しかし、墓じまいは通常、改葬(中に入っているご遺骨の引っ越し)」も含まれており、改葬をする場合は現在のお墓がある市町村の役場から「改葬許可申請書」をもらい、さらに墓所のある霊園やお寺からご遺骨が埋葬されていることを証明する「埋葬証明書」を発行してもらわなければなりません。
さらに移転先の墓所の管理者から「受入証明書」を発行してもらい、移転先のお墓がある自治体から「改葬許可証」を交付してもらえば手続きは完了です。
申請の金額は自治体によって様々ですが、改葬許可申請書の発行手数料は500円~1000円程度、埋葬証明書や受入証明書の発行は基本無料です。
・閉眼供養を行う場合はお布施
お墓じまいの際、多くの方が僧侶などに読経してもらう「閉眼供養」を行います。
というのもお墓を建立する際は「開眼供養」を行い、お墓に魂入れをして故人の住処にしていますので、お墓を解体する場合は「閉眼供養」をして魂抜きをする必要があるのです。
「うちは無宗教だから…」と閉眼供養をしない方もいますが、閉眼供養をしていない墓石は魂が入ったままであるという考えから、処分を拒否する業者も少なくありません。
閉眼供養を依頼する際はお布施が必要となります。
お布施の金額は寺院によっても異なりますが、3万円程度が相場でしょう。
・お寺のお墓を撤去し、離檀する場合は離檀料
寺院墓地のお墓を撤去し、お寺の檀家をやめる場合は離檀料が必要となることもあります。
離檀料を申し受けていない寺院もありますが、これまでお世話になったお礼という意味でお渡しする方も少なくありません。
離檀料の金額は寺院によって定められていない場合は、法要1回分のお布施(3万円~20万円)程度が目安となります。
一般にはこれでスムーズに離檀できますが、お寺とのトラブルや感情的なこじれがあった場合、高額な離檀料を請求されることもあります。
そうならないためにも、お墓じまいの際は事前に住職に相談し、気持ちよく離檀できるよう心がけましょう。
3.墓じまいの流れ
■墓じまいはこのように進めます。
●墓じまいをすることを家族・親族に相談する。
お墓の管理者が自分であったとしても、お墓は故人と縁があった人にとっては特別なものです。
「自分が管理料を払っているのだから」と一存で決めてしまうと、「何も相談が無くお墓がなくなってしまった…」と親族間で亀裂が走ってしまいかねません。
お墓じまいをする前にはできる限り親族に相談してから行いましょう。
●ご遺骨の行き先を決める
お墓にご遺骨が納められている場合は、お墓じまいの前に取り出さなければなりません。
取り出したご遺骨は自宅に安置しても良いのですが、どこかに埋葬する場合はご遺骨の改葬先(引越先)を決めます。
改葬先としては新しいお墓、納骨堂、樹木葬、永代供養墓、散骨などがあります。
手元供養や散骨の場合は自治体への申請は必要ありませんが、それ以外は自治体に改葬許可申請書をいただく必要がありますので、ご遺骨の引っ越し先は早めに決めた方が良いでしょう。
●寺院や霊園など墓地の管理者に墓じまいの意向を伝える
親族に理解を得られたら、次は墓所のあるお寺や霊園の管理者にお墓じまいを考えていることを伝えます。
寺院のお墓の場合、墓じまいだけでなく檀家を続けるかどうかの相談も必要となります。
お寺とトラブルにならないよう、これまでお世話になったことへの感謝を伝え、事情をていねいに説明して快く承諾してもらえるよう努めましょう。
●石材店に墓じまいを依頼する
墓じまいは余程小さなお墓でない限り自分で行うことは難しいため、墓石の撤去・更地変換工事を行っている業者(石材店)に依頼します。
業者によって価格が異なりますので、2、3件ほど見積もりを取って比較してみると良いでしょう。
ただし、寺院や霊園などによっては指定されている石材店しか工事に入ることができないこともあります。
どの業者でも工事に入れるのか、指定業者はどこなのかなどを霊園・寺院に確認してみましょう。
また、改葬の手続きにはご遺骨の数や誰のご遺骨なのかなども確認が必要ですので、自分で納骨室が開けられない場合は石材店に依頼して確認してもらいます。
また、ご遺骨の状態によっては洗浄や乾燥が必要となることもあります。お墓の確認や洗浄・乾燥にも費用がかかりますので、石材店に問い合わせてみましょう。
●ご遺骨を改葬する場合は、行政の手続きが必要です。
行政への手続きの流れは下記のようになります。
①現在のお墓がある自治体から「改葬許可申請書」をもらう。
②霊園や寺院などの墓地管理者から「埋葬証明書」を発行してもらう。
③移転先の墓所の管理者から「受入証明書」を発行してもらう。
④お墓の移転先の自治体から「改葬許可証」を交付してもらう。
●閉眼供養を行う
お墓じまいが決まったら閉眼供養を行うための準備をします。
閉眼供養は宗派によっては「脱魂式」「抜魂式」とも呼ばれ、お墓に宿っているといわれる故人の魂を抜き取り、墓石をただの石に戻すための儀式です。
閉眼供養は墓石の解体工事をする前に行う必要がありますので、墓じまいが決まったらお寺に早めに依頼しておきましょう。
懇意にしているお寺が無い場合は石材店や霊園が紹介してくれますので、相談すると良いでしょう。
●墓石の解体・撤去を行う
手続きが終わったら解体撤去工事に入ります。
ご遺骨を取り出して、墓石や基礎部分まで撤去し、更地にして墓所を建立前の状態に戻します。
工事は基本的に立会いなどは必要なく、工事が終わったら石材店から連絡が入りますが、工事が滞りなく終わったか気になる場合は、後日確認に行きましょう。
●移転先のお墓に納骨する
以前の墓地から取り出したご遺骨を次の改葬先へと埋葬します。
改葬先が決まるまでは自宅に安置しておいても問題ありません。
しかし、将来お墓などに埋葬する際には「改葬許可証」が必要となりますので、自宅安置をする場合も念のため改葬許可証を発行してもらい大切に保管しておきましょう。
4.墓じまいの注意点
■後悔しない墓じまいのために押さえておきたいポイント
「墓じまいってお墓を解体して処分してもらうだけだから、そんなに気を付ける点はないのでは?」と思う方もいますが、お墓じまい後にトラブルに見舞われたり後悔する人もいます。
ここではお墓じまい前に知っておきたいポイントをご紹介します。
●管理者が自分であっても、家族・親族に墓じまいをすることを相談しましょう。
●寺院の墓地の場合はあらかじめ住職に相談し、離檀も含めて話し合っておきましょう。
●ご遺骨が家に安置できないこともあります。お墓を撤去する前に、ご遺骨の改葬先を決めてスムーズに納骨できるようにしておきましょう。
●お墓じまいをする前に、埋葬されているご遺骨の数や状態を確認しておきましょう。
●墓石撤去の工事前に行政の手続きを済ませておきましょう。
●見積もりは複数の石材店に依頼し、内容を比較してから決めましょう。
金額に差がある場合は見積もりの詳細や、追加費用が発生しかないかどうかも確認しましょう。
5.お墓じまい後のご遺骨の埋葬先・葬送方法
●お墓
遠方にお墓がある場合、自宅から交通アクセスのよいお墓に改葬する人もいます。
最近の新しいお墓は草むしりなどが必要なく、お墓掃除も楽なものが多いため、ご遺骨の数が多い場合はお墓への改葬がおすすめです。
お墓の後継者がいない場合は、一般のお墓に永代供養を付けられる霊園もあります。購入前に確認しておきましょう。
●永代供養墓
永代供養墓とは、ご家族や親族の代わりにお寺や霊園などの墓地管理者が責任をもってお墓の管理・供養を行ってくれるお墓のことです。
近年「お墓の後継者がいない」「お墓のことで子どもや孫などに負担をかけたくない」という悩みを持つ人が増え、永代供養墓が人気を集めています。
永代供養墓の多くがすぐに、または一定期間経過後に他の方のご遺骨と一緒に埋葬する合葬(合祀)墓へと移されますので、合葬に抵抗がある方はあらかじめ確認してください。
●納骨堂
納骨堂とは屋内設置された納骨壇にご遺骨を収蔵する納骨スペースのことを言います。
そのスタイルは様々ですが、上段に位牌や花立などを設置した細長い納骨壇やロッカータイプの納骨壇に骨壺ごと収蔵するタイプが一般的です。
屋内にあるため天候-気候にかかわらずお参りができ、ご遺骨が汚れない、掃除の手間がかからないなどのメリットがあり、お墓じまいして納骨堂に改葬する人も年々増えています。
寺院の敷地内に作られた納骨堂の多くが、檀家になることが利用条件としていますが、宗教宗派を問わず利用できる寺院納骨堂や、民間霊園が運営する納骨堂もあります。
●樹木葬
“自然葬”のイメージや価格が比較的安価であることなどから、樹木葬は今大変人気を集めています。
発祥は樹木を墓標代わりとする「里山型樹木葬」でしたが、現代の樹木葬の多くがシンボルツリーの周りに小さめの墓石を配した「公園型樹木葬」、またはイングリッシュガーデンのように美しく整備された敷地内におしゃれな墓石を配した「ガーデン型樹木葬」となっています。
1人用~4、5人の家族用まで大きさは様々ですが、多くが永代供養付きとなっており、すぐに、または一定期間経過後にご遺骨は合葬墓に移されます。
●散骨
ご遺骨をパウダー状に砕き、海や山などに散布する方法で、実は古来から行われている歴史のある葬送方法です。
散骨場所は海、山、宇宙など様々ですが、業者による散骨の大半が海洋で実施されます。
業者に散骨を委託する「委託散骨」、船を貸切って遺族が散骨する「チャーター散骨」などがあり、費用は委託散骨が5万円~15万円、チャーター散骨が20万円~40万円程度。
お墓などを建立するより安価で、将来にわたるご遺骨の管理なども必要がありません。
●手元供養
ご遺骨をご自宅に安置し、身近な場所に保管して供養する方法です。
ご遺骨のすべて、または一部を分骨し、コンパクトな骨壺やアクセサリーなどに収納してご供養します。
手元供養の魅力は「お墓参りに行く手間がかからない」「故人をいつでも身近に感じることができる」「価格が安い」などでしょう。
しかし、墓じまい後に手元供養を行う場合は「入りきれないご遺骨の改葬先が必要」「アクセサリーなどの場合粉骨しなければならない」などの課題もあります。
「自宅墓」もこの手元供養の一種で、自宅に置ける小さなお墓として人気を集めています。
自宅墓おくぼの詳しい情報はこちらから
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6.お墓じまいの後のご供養先にも選ばれている散骨について検証。
●散骨とは?
散骨とは故人のご遺骨を海や山、宇宙などに撒く葬送のスタイルで、ご遺骨の一部、または全部を粉骨して撒き、自然に還す自然葬です。
散骨場所としては海、山、川、湖などのほか宇宙空間への散骨も話題になっています。
しかし場所によっては法律に抵触することもあり、一般的には海が選ばれています。
散骨は現代型の葬送方法というイメージがありますが、実は世界で古くから行われていました。
わが国でも江戸時代中期には「死者の魂を自然に還す」風習として一般的に行われていたようです。
●散骨は違法?合法?
実は戦後の日本では墓地、埋葬などに関する法律により散骨は違法またはグレーゾーンと考えられていました。
しかし、近年では法務省が非公式ではありますが「散骨は葬送のための祭祀で、節度をもって行われる限り問題はない」という見解を示しており、自然葬のひとつとして散骨を選択する人が増えています。
●芸能人で散骨を選んだ人はどんな人がいる?
有名人の中でも散骨を選んだ人は少なくありません。
その代表格と言えるのが故・石原裕次郎氏で、海を愛した裕次郎さんの遺骨の一部が湘南の海に散骨されました。
他にも横山やすしさん、X-JAPANのhideさん、女優の沢村貞子さん、石原慎太郎さん、いずみたくさん、音羽信子さん、勝慎太郎さんなど。海外においても、アインシュタインさんやマリア・カラスさん、Queenのフレディ・マーキュリーさんなどが散骨を選択しています。
●散骨の種類
散骨は、前述したとおり、故人のご遺骨を粉骨し、自然に還す自然葬ですが、日本では海洋散骨が大半を占めています。
以下、海洋散骨の種類について説明します。
【委託海洋散骨】
何らかの事情で遺族が乗船できない場合に、散骨業者が散骨を代行するプランです。
業者がご遺骨を複数個まとめて実施するため、価格は安価になります。
ご遺骨はゆうパックで郵送することもできますので、遠方にお住まいでも、故郷の海や思い出の海に散骨することが可能です。
【合同海洋散骨】
チャーターした船に複数のご遺族が乗り合わせて散骨を行うプランです。
船のチャーター費用を複数のご家族で一緒に負担するため、単独で行うチャーター散骨より安価に実施することができます。
しかし、乗船人数が限られている、散骨の日程の調整が必要、他のご家族がいらっしゃるので気を遣うなどのデメリットもあります。
【チャーター海洋散骨】
船を貸切り、ご家族や親しい方だけで散骨を実施する海洋散骨プランです。
他のプランに比べて料金は高めに設定されていますが、1家族だけで行うため希望の日程を選ぶことができ、ご家族や故人と縁があった方などと一緒に、ゆっくりとお見送りをすることができます。
故人が好きだった音楽をBGMに流すなど、オリジナルの演出ができるのもチャーター海洋散骨の魅力です。
7.散骨の禁止事項
・粉骨していない遺骨を撒くことできない。
・海岸や砂浜で行うことはできない
・海水浴場などの近くで行うことはできない。
・漁場、養殖場の近くには散骨できない
・花は撒けるが大量の花束などは投下できない
・遺品などを投下することはできない
・自然に還らないものは投下できない
・環境汚染につながるものは投下できない