室内で自宅墓を設置する場合の手順と方法|必要なスペースや管理方法を考える
近年、寺院や霊園などではなく、自宅にお墓を“置いて”ご供養する「自宅墓」を選ぶ人が増えています。
自宅墓を選ぶ理由は
〇遠方で所帯を持ったため、お墓参りに行くのが大変。
〇故人と離れがたいので、毎日の生活の中で一緒に過ごしたい。
〇忙しくてお墓参りに行くことができないが、供養はきちんとしたい。
〇お墓や納骨堂を建立する費用が無い。
〇合葬の永代供養墓に埋葬したが、ご遺骨の一部はちゃんと残して供養したい。
などでしょうか。
自宅墓はとてもメリットの多い、思いのこもった供養方法ですが、室内に遺骨を安置することになるので、管理者やご家族が日々の管理を行わなければなりません。
また、自宅墓を設置する場合、一般墓に埋葬する場合と用意するべきものや手順が違うので、余計な手間や費用をかけてしまわないように、なにを準備するべきかよく確認しておくことがおすすめです。
室内で自宅墓を設置する場合の手順と方法、そして自宅墓の管理方法について解説します。
室内で自宅墓を設置する手順を解説
自宅墓を購入することを決めたら、まず設置場所を決めます。
自宅墓はコンパクトで移動が簡単にできることも魅力のひとつですが、一度安置場所を決めたらあまり動かすことはありません。
設置場所に合わせてどのような準備が必要なのか、用意するべきものとともに自宅墓を設置する手順を解説します。
■自宅墓を設置する際に用意するべきもの
自宅墓は仏間、リビング、和室、寝室などどんなところでも設置でき、自分らしくご供養をすることができます。
また一人暮らしのワンルームの部屋など、スペースに余裕が無くても設置できることも自宅墓のメリットです。
設置場所によって用意するべきものが異なるので、余計な手間と費用をかけてしまわないように、必要なものをきちんとリサーチして準備してください。
- 仏壇に安置する場合は仏具がそろっているので、自宅墓だけでも問題ありません。台座が無い場合は傷が付かないようマットなどを用意しましょう。
- リビングなどに設置する場合は仏具もあると本格的なお参りスペースになります。おりん、花筒、香炉などがあれば仏壇の代わりにもなります。
- ワンルームの部屋に設置する場合はミニ骨壺タイプのコンパクトな自宅墓が良いでしょう。デザイン性の高いものや骨壺が直接見えない仕組みのものであれば、お部屋に置いても違和感がありません。
自宅墓は従来のお墓に囚われない形で、自由に作ることができるので、設置してから随時道具を揃えていっても良いでしょう。
最近は仏具や位牌も、インテリアに馴染むようなお洒落なものが販売されているので、ライフスタイルやインテリアに合わせて道具を用意してください。
また、自宅墓が簡単に作れるセットも販売されているので、セットで手間を短縮して一式揃えるのもおすすめです。
■室内で自宅墓を設置する手順
自宅墓を設置する手順は分骨の有無によって異なりますが、基本的な流れは一般墓と同じです。
1.自宅墓の設置場所を決め、購入する。
2.ミニ骨壺を用意。ご遺骨から分骨して、ミニ骨壺の中に遺骨を納める。
※葬儀、火葬後の場合…葬儀業者などに相談し、事前に火葬場に伝えてもらう。
※埋葬済のご遺骨から分骨する場合…分骨証明書を発行してもらい、お墓や納骨堂からご遺骨を取り出して分骨。残りは再びお墓や納骨堂に納める。
3.粉骨を行う場合は、自宅墓に納める前に業者に依頼する。
※四十九日や忌明け後に行うケースが多いが、タイミングに決まりはない。
4.花立、香炉、おりんなどの道具を揃える。
5.自宅墓の中に骨壺を納めてご供養する。
なお、自宅墓を用意するタイミングはいつでも問題ありません。
予め用意しておくのはもちろん、一般墓の納骨の目安とされている四十九日や一周忌などに合わせて用意しておいても大丈夫です。
とくに決まりはないので、都合のよいタイミングで自宅墓を用意してください。
※自宅墓の開眼供養は必要に応じて行えばよい
新しくお墓を建てたり、お墓を改葬(引っ越し)をするときには「開眼供養(開眼法要)」と呼ばれる儀式を行います。
開眼供養とはお墓の完成をお祝いする儀式で、僧侶に読経をいただきお墓を礼拝の対象とするために魂を入れます。
魂入れや入魂式など、さまざまな呼び方があり、仏教では一部の宗派を除いてどこでも行われる儀式です。
開眼供養のタイミングはお墓が完成した後で、四十九日や一周忌の際に法要とともに行うケースが多いです。
また新しく仏壇を購入した際にも、開眼供養を行うケースがあります。
自宅墓はお墓としてだけでなく、仏壇としての役割を持たせるケースがあるため、開眼供養は行うべきだろうか…と悩まれる方もいますが、開眼供養は必ずしも行わなければならない儀式ではありませんし、自宅墓の場合は開眼供養を行わない方が多いようです。
もちろん開眼供養を行っても構いません。その場合は菩提寺や懇意にしているお寺などに相談してみましょう。
自宅墓の設置に必要なスペースと管理方法とは
一般的はお墓は、墓石が大きいためそれなりのスペースが必要になります。
小さい場合も1㎡くらいから、大きなお墓の場合20㎡くらいの広々とした敷地に建てられることもあります。
お墓の管理は基本的にお寺や墓所にお任せしますが、それぞれの敷地の墓石などは契約者や親族が定期的に清掃を行ったり、メンテナンスをしていく必要があります。
自宅墓の場合はさらに自宅に設置するため、ご家族以外に管理を行う人はいません。
清掃や落下などの安全管理もすべてご家族で行う必要があります。
そこで、自宅墓にはどれくらいのスペースが必要か、またどのような管理をしていくかなどについて解説します。
■設置するスペースはどのような供養のスタイルにするかで決める
自宅墓を設置するスペースはどのような供養方法にするかで異なります。
例えば、故人の在りし日のようにいつも一緒に過ごしたい…という場合はリビングや寝室に設置するのが良いでしょう。
仏間があるお宅でしたら、仏壇に設置する方もいます。
しかし、せっかくの手元供養ですから、暮らしの身近な場所に置いて仏壇の役割とは分けて考えるのも手です。
一方、できるだけスペースを取らず、コンパクトなご供養スペースを作りたいという場合も自宅墓なら安心。
御影石を設置するタイプの自宅墓でもB5くらいのスペースがあれば設置できますし、ミニ骨壺タイプならコップ1個置けるくらいのスペースに設置できます。
コンパクトで場所を取らないことが魅力の自宅墓ですが、ミニ骨壺などの小さな自宅墓は逆に紛失の恐れもあります。
また、ガラス製や陶器製のものは破損の恐れもありますので、専用の台を用意したり、チェストの上や本棚などにスペースを用意したりして、小さな子どもやペットなどは触れないようにしましょう。
どんなスペースに設置するのかによって選ぶ自宅墓は異なってきます。
どのようなカタチで供養したいか、設置するならどのあたりに、デザインはどのようなものが良いか、しっかりとイメージしてから自宅墓を選ぶとよいでしょう。
■自宅墓の管理は湿気対策が基本
自宅墓の管理の基本は「安全対策」と「湿気対策」です。
御影石を設置した自宅墓はコンパクトであっても重量はかなり大きく、落下すると骨折などの大けがにつながる場合もあります。
また、地震などの自然災害であっても、骨壺が破損してしまうと中のご遺骨が散乱してしまうことがあります。
こうした不測の事態を想定したうえで設置場所を決めてください。
また、普通の生活をしていれば大きな問題はありませんが、遺骨は湿気を吸いやすい性質なので、結露するような寒暖差の大きい場所や、湿気の多い場所へ設置することは避けます。
気になる場合は乾燥剤を入れておくことと良いでしょう。
日々のメンテナンスは道具の汚れやホコリを拭き取るだけで問題ありません。また骨壺の中まで拭く必要もありません。
しかし、骨壷から異臭がする、カビが目視できるなどのトラブルが発生した場合は、遺骨を洗浄・再燃焼する必要があるので専門業者へ依頼しましょう。
■自宅墓の管理をラクにするなら骨壷選びと遺骨の処置が重要
自宅墓は基本的に管理に手間がかからず、お墓参りに行く時間を取られることなく気軽に供養できるところが魅力です。
よってどの自宅墓であっても面倒な管理などは必要ありませんが、より管理を楽にするなら汚れがつきにくい、または汚れをすぐに落とすことが出来る素材を選びましょう。
ご遺骨のカビなどが心配なら気密性が高く、湿気が通らない骨壷が良いでしょう。また凹凸が少なくシンプルな形の骨壺なら、日々のメンテナンスも簡単です。
また、遺骨を粉骨を真空パックにして保管するのもおすすめです。
真空パックなら一切湿気を通さないのでカビが生える心配がなく、万が一骨壷の蓋が外れてしまってもこぼれてしまう恐れもありません。
【まとめ】
室内の自宅墓はライフスタイルや好みに合わせて選ぼう
霊園や墓地にお墓を作る場合、自由なデザインのお墓を建てられる場所もありますが、風雨にされられることが前提ですので自由度はあまり高くありません。
しかし、自宅墓の場合は環境に影響されることがなく、家の中で毎日お参りが出来ますので、大きさも色も形も全て自由に選ぶことができます。
自宅墓の中には、インテリアに馴染むようなお洒落なものから、小さなスペースさえあれば設置できるものまで、さまざまなデザインのものが販売されています。
ぜひ、ライフスタイルや好みに合わせてピッタリな自宅墓を選んでみてください。