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自宅の庭にお墓を作ることは可能か。関係する法律や手順を解説

自宅の庭にお墓を作ることは可能か。関係する法律や手順を解説
 
ライフスタイルの変化により、手元供養のひとつとして自宅にお墓を置く「自宅墓」が注目を集めています。

自宅にお墓があれば、毎日好きなときにお墓参りが出来ますし、土地代もかからず、故人も寂しくないなどさまざまなメリットがあります。

 

「ということは、家にお墓を建てることはできるの?」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。

確かに地方によっては家の庭やすぐそばにお墓が建っているところもありますが、はたして自宅の庭にお墓を作ることは可能なのでしょうか?

お墓の建立・ご遺骨の埋葬に関する法律や、お墓を家の中に「置く」方法などについて解説します。
 

自宅の庭にお墓は作れる?法律の観点から解説

 
自宅の庭にお墓が作れたら、いつでも好きなときにお参りができて、故人の存在を近くで感じることができますね。

では、自宅の庭にお墓を作ることはできるのでしょうか。法律の観点から解説します。
 

■自宅の庭に墓標を作ることはできるが、ご遺骨を埋葬することはできない

 
結論から申しますと、自宅の庭にお墓を建てることは不可能ではなく、墓石を建てたり、モニュメントを作ったりなど、自由な形でお墓を作っても問題はありません。

しかしこれはあくまで「墓石の建立」の話。

このお墓に納骨室を作り、ご遺骨を埋葬することは法律(※墓地埋葬法)で禁じられています。

また、墓標のみであっても、ご遺骨が入っているのでは…と誤解されかねませんし、近くにお墓があることに対して、近隣の皆様が抵抗感や否定的な感情を抱く可能性もあります。

トラブルの原因にもなりかねないので、庭にどうしてもお墓を建てたい場合は、目立たないようなデザインにする、お墓だとわからないようなモニュメントを飾るなど、近隣住民に配慮して作ることをおすすめします。
 

■自宅にお墓を建てたい…という方は、まず墓地埋葬法を理解しておきましょう。

 
前述したとおり、自宅の庭にお墓を作ること自体は不可能ではありません。

しかし遺骨を実際に埋めることは「墓地、埋葬等に関する法律」によって禁止されています。

第4条 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない。

つまり、ご遺骨の埋葬は法律で「墓地」として定められているところにしかできず、自分の私有地であっても、墓地ではない場所に遺骨を埋めることは違法なのです。

「庭にお墓があれば毎日お参りができたのに…何とかならないかしら?」という方は、自宅にお墓を建てること自体は法律で禁止されていないので、庭にモニュメントとしてのお墓を建て、ご遺骨は自宅に安置しておくという方法もあります。

 

※行政より庭にお墓を設置することを許されているケースがある

 

墓地埋葬法では墓地じゃないところにお墓は建立できない…しかし

「墓地じゃないところにお墓が建っているのを見たことがある」という方はいませんか?

実は、自宅の庭のように私有地内に個人墓地を設置して埋葬しているケースもあります。

 

これは「みなし墓地」と呼ばれるもので、墓地埋葬法が制定される昭和23年(1948年)よりも前に、行政から許可をもらって作られたお墓なので法律違反ではありません。

墓地埋葬法が制定されて以降は、私有地での埋葬は認められないのでみなし墓地を作ることはできません。

つまり昭和23年より前に作ったお墓なら問題ないが、新たに自宅の庭にお墓を作って埋葬することは法律違反となるのです。

もちろん役所に申請を出せば埋葬できるようになることもありません。

みなし墓地は自治体によって保管されている「墓地台帳」という、お墓の来歴が記録されている書類に記載があります。

万が一、記載のない墓地が見つかった場合は刑罰が科される可能性がありますのでご注意ください。
 

■ペットの場合は庭に埋葬しても問題ない

 
「墓地、埋葬等に関する法律」の対象となるのは人間のみです。

ペットの場合は法律の対象外。

ペットのお墓を建てたり、遺骨の埋葬も自宅の庭で行って問題ありません。

 

自宅の庭にお墓を作る方法と手順

 
自宅の庭にお墓を作る方法は、主に2通りのパターンがあります。

それぞれのパターンに分けて、自宅の庭にお墓を作る手順を解説します。
 

■別途でお墓を用意して、庭にもモニュメントとしてのお墓を建てる場合

 
まず、寺院や霊園に別途でお墓を用意する場合の手順をご紹介します。

  1. 火葬後、既存のお墓もしくは新しく建てたお墓に納骨する。
  2. 既存のお墓がある場合は納骨後に、新しく建てる場合は同時もしくは納骨後に、庭にお墓を作る手配をする。
    ※墓石やモニュメントを作る場合は石材店へ、樹木を植える場合は桑造園業者などに依頼しましょう。
  3. 必要に応じて建碑式(開眼法要)を行って完了。

建碑式とは新しく建てたお墓に魂を入れてもらう儀式のことです。

自宅の庭にお墓を作る場合、実際に納骨するわけではありませんので開眼供養は必要ありませんが、建碑式はお墓をお披露目するお祝いの儀式なので、必要に応じて行うとよいでしょう。
 

■自宅にご遺骨を安置し、モニュメントとして庭にお墓を建てる場合

 
遺骨を自宅で保管する=手元供養を行う場合は、手順が少し異なります。

  1. 分骨する場合は予め葬儀社に分骨の依頼を行う。なお、予め分骨用の骨壷や、分骨証明書の発行が必要。分骨を行わない場合は不要。
  2. 遺骨を保管するスペースを用意する。
    ※庭に埋葬することができないため、自宅内で遺骨を保管するスペースを用意してください。保管方法に合わせて自宅墓や道具を購入してください。
  3. 庭にお墓を作る手配をする。
  4. お墓が完成したら、必要に応じて建碑式を行って完了。

一般的にお墓を作ったら、遺骨を埋葬する際に納骨式を行いますが、庭にお墓を作る場合は納骨式は省いても問題ありません。

必要に応じて、形だけの納骨式を行うのもよいでしょう。

 

庭より室内にお墓を作れば費用面でも供養面でも安心。

 
手元供養は庭より室内にお墓を作ることがおすすめ
 
ご遺骨は手元供養で自宅に安置して、自宅の庭にお墓を作れば、いつでも気軽にお墓参りができるようになりますが、庭にお墓を作る場合「建立費用が高くなる」「スペースが必要になる」「風雨にさらされるので清掃が必要」「周囲の目が気になる」などデメリットもあります。

「でも遠方だとお墓参りが大変だし、故人を身近に感じられるお墓にしたい」という場合は、庭よりも室内に「お墓を置く」ことをおすすめします。

室内に置くお墓はどのようなメリットがあるのでしょうか。

解説します。
 

■室内のお墓は法律の対象外になる

 
自宅の庭にお墓を建ててご遺骨を埋葬することは違法ですが、家の中にご遺骨を安置する「自宅墓」は法律の対象外なので、違法になることはありません。

庭にお墓を作ると周囲の目が気になるだけでなく、事情を聞かれた際に埋葬していないことを証明することに手間がかかるなどさまざまなデメリットがあります。

しかし、室内にお墓を作れば周囲の目が気にならないうえに、埋葬するわけではなく安置をしているだけなので法律に抵触することもありません。
 

■室内なら自由な形でお墓を作ることができる

 
庭にお墓を作る場合、雨風にさらされることになりますので、御影石など自然の中でも問題のない素材で作る必要があります。

しかし、室内に安置する「自宅墓」なら、天候などは関係ありませんのでどんな素材で作っても問題ありません。

また周囲を気にすることなく、大きさも形も色も、全て自由に作ることができるので、故人の好みやインテリアに合わせて作ることも可能です。

最近では従来のお墓や仏壇のような物々しさがなく、一見お墓とは気付かないようなお洒落でコンパクトな自宅墓も多数売られています。

数あるデザインから好みの自宅墓を選ぶとよいでしょう。
 

■お墓のメンテナンスが簡単

 
庭にお墓を作る場合、雨風に晒されているので、定期的に清掃したり、傷がついたら修復したりなどお墓のメンテナンスに手間や費用がかかります。

一方、室内であれば、基本的なメンテナンスは拭き掃除やホコリを取り除くだけなのでとても簡単です。
 

■費用が安価

 
庭にお墓を建てる場合、土地代はかからないものの「墓石代」「工事費」「彫刻代」「メンテナンス代」などが必要となります。

自宅墓の場合はコンパクトなものが多いため費用も安価なものが多く、工事費やメンテナンスなどの費用もかかりません。

 

■お墓の移動も簡単

 
さまざまな事情で引っ越しや、家の建て直しが必要になった場合、庭にお墓を作ってしまうと移動が大掛かりとなり手間も費用もかかります。

しかし室内に安置する自宅墓なら、お墓の移動が簡単にできるので、引っ越しの際も安心です。
 
【まとめ】

埋葬を行う場合は自宅の庭にお墓を作ることはできない

 
自宅の庭にお墓を作ること自体は不可能ではありません。

ただし、法律によって墓地以外にご遺骨を「埋葬する」ことはできないため、あくまでモニュメントとしての墓石のみで、ご遺骨を埋葬するタイプのお墓を建てることはできません。

また、埋葬せずに自宅にお墓を作る場合も、近隣住民への配慮が必要になるので、できれば室内で小さな自宅墓を作ることをおすすめします。

大切なひとといつもいっしょに。
ステンドグラスの輝きに包まれた自宅墓「おくぼ」

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