お墓が無い人の納骨はどうするの? 終活カウンセラーが解説。
1.お墓が無い人の納骨について お悩みを解決①
人気の樹木葬や承継不要の合葬墓など、広がるお墓以外の選択肢。
納骨とは、遺骨を骨壺に納めること、またその骨壺を墓などに納めることを指します。
従来は火葬の後に墓地へ納骨するのが一般的でしたが、最近はライフスタイルも多様化し、「継承者がいない」「維持管理が難しい」という声も多く聞かれるようになりました。
それに伴い、新しい納骨方法が続々と登場しています。
では実際、お墓以外にどんな納骨方法があるのでしょうか。
1-1.樹木葬
樹木葬とは、元は樹木を墓石の代わりにした埋葬方法でした。
それが発展し、現在では「シンボルツリーの周りに小さな墓石を置く公園型」や「ガーデン風に整備された墓地に小さめのお墓を建てるガーデニング型」が主流となっています。
従来のお墓よりも明るい雰囲気であったり、またお寺の境内地にあっても宗旨・宗派を問わず個別に自由なスタイルでお参りができる点で人気があります。
金額は、納める遺骨の数によって変わりますが、一般的な墓所を購入するよりは安価です。
1-2.合葬墓
合葬墓とは、ひとつの施設の中に多数の遺骨を一緒に埋蔵するお墓の事であり、各自治体が運営しているものも多数あります。
「墓石不要」「継承者不要」「維持管理不要」であり、納骨後はご遺族に代わりお寺や施設などがお墓の管理・供養を代行、「永代供養」をしてくれます。
最初から他の遺骨と一緒に埋葬されるのが一般的ですが、管理料を支払うことで一定期間(10年、20年等)個別に管理してもらえる場合もあります。
金額は、墓石も要らないため数万円からと安価ですが、多くは屋外に設けられた参拝所での参拝となり、また基本的に遺骨の取り出しは不可となっているので注意が必要です。
1-3.納骨堂
納骨堂とは、主に建物内にある遺骨を納める施設の事です。
昔は、墓地に埋葬するまでの一定期間のみ遺骨を預かる施設でしたが、近年では一時的でなく継続的に納骨することができる施設となっています。
ロッカー式、棚式、仏壇式、墓石式、機械式などさまざまなタイプがあり、最近都市部では、専用カードをかざすと自動的に骨壺が運ばれてくる自動搬送式のものも珍しくありません。
屋内スペースであるため掃除はあまり必要ありませんが、公共の場でもあるため、献花や供え物などは、それぞれの施設のルールに則って行う必要があります。
2.お墓が無い人の納骨について お悩みを解決②
実は、納骨は義務じゃない!納骨しないという供養のかたち「散骨」。
意外に思われますが、最近増えているのが「納骨しない」という選択をする方です。
上記(1-2.合葬墓)でお話した「永代供養」を選択しない場合、お墓や樹木葬、納骨堂では「継承者」と「維持管理」が求められます。人によっては難しい問題です。
そんな背景から近年需要が増えているのが「散骨」です。
2-1.海洋散骨
海洋散骨とは、粉骨した遺骨を海に撒く供養の形です。
散骨の中でもっともポピュラーな方法であり、多くの民間業者が行っています。
船をチャーターする立ち合い散骨の他、遺骨を郵送して代行散骨してもらうものもあり、金額は様々です。別途粉骨料金(1万円~3万円程度)がかかる場合もあります。
2-2.その他の散骨
その他にも、風船で空に飛ばす「バルーン葬」、ロケットで宇宙へ飛ばす「宇宙葬」等があります。
3.お墓が無い人の納骨について―お悩みを解決③
新しい納骨方法として話題!最近話題の手元供養品をご紹介。
手元供養とは、小さな骨壺や遺骨アクセサリーに遺骨を入れて自宅に安置したり、身につけたりする供養の形であり、「故人とずっと一緒にいたい、遺骨と離れたくない」という遺族の気持ちから生まれた新しい納骨方法です。
お墓が買えない方でも、予算に応じた様々な手元供養品があるため安心です。
「全てを散骨もしくは合葬してしまうのはかわいそう」という気持ちから、一部残した遺骨の供養方法としても人気があります。
そんな手元供養品について、いくつかご紹介したいと思います。
3-1.ミニ骨壺
ミニ骨壺とは、遺骨の一部を納骨し、自宅に安置して供養する小さな骨壺のことです。
コンパクトでインテリア性の高いものが多く、好きな場所に置いておくだけでなく、旅行など外出時に持参することもできます。
3-2.自宅墓
自宅墓とは、自宅のリビングなどに置いて、いつでもお参りすることのできる小さなお墓です。小さな墓石に、ミニ骨壺に入れた遺骨を納骨して供養します。
ステンドグラスのフォトフレームがセットされたタイプなど、室内でも違和感のないおしゃれなデザインとなっています。希望する場合は、永代供養サポート付きの自宅墓もあります。
お墓が自宅内にあるので、高齢のために遠方への外出が難しくなっても、いつでもお墓参りできるのは大きなメリットです。
数万円から購入できるものもあり、管理費もいらないため、経済的にも安心です。
3-3.遺骨アクセサリー
遺骨アクセサリーとは、粉骨するなどした遺骨の一部を、中に入れられるようにしたアクセサリーの事です。
ペンダントやリングが一般的です。遺族の「これからもずっと離れたくない」という気持ちに寄り添うものであり、身につけることで心を落ち着かせてくれたり、支えてくれたりする美しいアイテムです。
3-4.その他の手元供養
この他にも、遺骨を加工して宝石(ダイヤモンドや真珠)にしたり、遺骨を小さな骨壺に入れてお位牌と一緒に仏壇におくなど、手元供養のかたちは本当に自由であり、個々様々です。
【トピックス】手元供養のあとの余った遺骨はどうする?
Q1.手元供養するために分骨してもいい?
「分骨すると成仏できない」という人もいますが、これは間違った考え方です。
分骨した遺骨を祀ってお参りすることは、色々な宗教で古くから行われています。有名なのが、仏教における「仏舎利(お釈迦様のお骨)」や、キリスト教の「聖遺骨(聖人の遺骨)」です。
また西日本においては「部分収骨」といって、喉仏など主要な遺骨だけを骨上げする方法が一般的になっており、実はこの時点ですでに分骨されています。
法律的にももちろん何の問題もありません。
Q2.余った遺骨はどうする?
手元供養を選ぶ際は、分骨後に残ったご遺骨の行先や、将来手元供養をやめる時にご遺骨をどうするのかを考えておく必要があります。
分骨して余った遺骨や手元供養が終わった遺骨は、散骨したり、合葬墓で永代供養する場合が多いようですが、それ以外にも、「自分が亡くなった後、自分の遺骨と一緒にお墓に埋葬してもらう」など多様な方法があるので、家族と話し合っておくことも大切です。
4.お墓が無い人の納骨について―お悩み解決【まとめ】
今回は、お墓が無い人の納骨先として「納骨堂・合葬墓・樹木葬」、また納骨しない場合の選択肢として「散骨」、新しい供養の方法として「手元供養」をご紹介しました。
現代の日本では、従来のお墓を建てるという方法以外にも、このように多くの選択肢があります。宗教観や死生観、お葬式や供養をはじめとする人の死に関する儀式の形式も変化し続けています。
ただ、供養する気持ちの大切さは変わりません。供養は故人の冥福を祈るものであり、また遺族が故人の死と向き合い、その後の人生を歩むためにも大きな意味を持つものです。
どんな風に供養したいか、されたいか。ご自身のお気持ちに合うものが見つかりますように。
(終活カウンセラー 柴田)